鉄道基礎用語

鉄道基礎用語-6 ~国鉄とJR~

鉄道基礎用語第6弾。今回は日本の鉄道史を語るうえでも欠かせない「国鉄」と「JR」についてお話します。

JRは私鉄
日本全国に鉄道路線網を展開するJR。普段利用されている方は地域ごとに分割された巨大な鉄道会社というイメージを持たれていると思います。
そして日本の鉄道会社は「JR」と「私鉄」の二つに分けられているという認識でしょう。基本的にはそれで通じます。

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「私鉄」であるりんかい線を走る「JR」埼京線の車両。筆者撮影

しかし、JRは企業の形としては立派な私鉄です。だってそうでしょう、例えばJR東日本の正式名称は「東日本旅客鉄道株式会社」。株式の保有も民間の銀行や保険会社が主です。つまりJRは民間が運営する鉄道会社=私鉄なのです。

しかし、形態を同じくしていてもJRと私鉄は全くの別カテゴリの企業体として認識されています。これは鉄道マニアの間でもそうです。JRを私鉄と言う人はいません。

なぜ、JRは私鉄とは区別されるのか。それはJRがもともと「国鉄」という巨大な国営企業であったためなのです。

国鉄があってJRが生まれた
JNR
国鉄を表すJNRマーク。JNRは「Japanese National Railways」の略

初めに国鉄の解説から。「日本国有鉄道」略して「国鉄(こくてつ)」は日本国政府が所有していた国有鉄道を運営することを目的に生まれた組織です。1949年に発足しました。
現在のJRの路線を沖縄を除く46都道府県全区において管轄し、列車を走らせていました。
簡単に言えば国が運営していた巨大公営鉄道です。

ちなみにその国鉄のさらに前身にあたる組織が鉄道省です。明治時代は日本全国に民間で鉄道が次々と誕生しましたが、それを国が買い取り日本に巨大な国営鉄道網が張り巡らされました。
やがてこれら路線を管轄する組織といて鉄道院が1920年に生まれ、国営の路線網が確立しました。これが後の国鉄・JRの路線となります。

そして、戦後の省庁再編により鉄道院は国鉄へと変化し、政府の出資によって動く特殊法人になりました。つまり国鉄は水道やガス、電気と同じように鉄道を公共インフラとして運営することを任せられた国営の会社になったのです。

なお、国鉄の社長職「総裁」は内閣の任命で決められていました。このような組織体系からも国鉄が国の組織だったということがうかがえます。

そして、発足してしばらくは公共インフラの役目を果たすべく順調に旅客・貨物の輸送を行います。しかし、自動車・航空機とのシェア争いに巻き込まれ、さらに無茶なローカル線の敷設が続いたことから、1964年から赤字運営になります。この赤字はついぞ解消されることはなく、後のJRにまで持ち込まれることになりました。

赤字になってからと言うもの国鉄の財政は一向に改善されず、さらに政府による無茶なローカル線の増加と職員によるストライキが頻発し、経営は泥沼状態に。国鉄は確実に破滅への道を進んでいきました。

そして1982年、ついに国が国鉄を手放すことを決意。政府、国鉄側の協議により国鉄を地域別・事業別に分割して民営化することが決まりました。

1987年、国鉄は解体されその線路と事業はJRグループに引き継がれることになりました。

改めて「JR」とはなんなのか?
JR
JRマーク

では、改めて「JR」の定義について。「JR=Japanese Railways」とは国鉄が分割民営化することによって発足した北海道旅客鉄道・東日本旅客鉄道・東海旅客鉄道・西日本旅客鉄道・四国旅客鉄道・九州旅客鉄道・日本貨物鉄道及びその関連企業を指す総称になります。
つまり、JRとは国鉄から引き継いだ広大な路線網を所有する民営の鉄道会社のことなのです。その歴史的な特異性から私鉄とは区別され「JR」という独自のジャンルが存在しているのです。

民営化されたといっても国鉄の負債を全社で引き受けていたため、JRグループも最初は株式を政府が所有していました。
しかし、経営力のあるJR東日本、JR東海、JR西日本(いわゆる本州3社)の株式が民間企業へと移り、2006年までに完全民営化を達成。遅れて観光列車や鉄道以外の事業に成功したJR九州が2016年に完全民営化を達成。この4社は完全に「私鉄」となりました。

一方、財政回復を果たせていないJR北海道、JR四国、JR貨物は未だに株式を政府に握られており、純粋な意味での「私鉄」とは言いにくい状況です。

さて、晴れて民営化されたこれらの鉄道会社は政府の縛りが無くなったことにより、公共インフラの立場ではできなかった事業の効率化や鉄道以外の事業への進出が可能となりました。これにより財政が健全化され、完全民営化されたJR4社は国鉄時代よりも安定した鉄道運営を行うことが出来るようになったのです。

一方いまだ完全民営化を達成できていないJR北海道、JR四国、JR貨物は依然として厳しい財政状況に置かれており、特にJR北海道は駅、路線の廃止が取りざたされるなど民営化による恩恵をほとんど受け取ることが出来ませんでした。鉄道運営が厳しい北海道だけで予算のやりくりをしなくてはいけないため、運営すればするほどジリ貧になっていく体質になっているのです。

このような格差は国鉄民営化の功罪ともいえるでしょう。だからと言って国鉄をそのままにしておけば良かったかと言えばそうではなく、民営化しなければJR東日本やJR九州といった優等生も生まれて来なかったわけです。民営化は本当に正しかったのか、どう判断するかは人によって変わるでしょう。

というわけで今回は国鉄とJRについてでした。次回金曜日は「私鉄」と「公営鉄道」についてお話します。