鉄道基礎用語

鉄道基礎用語-5 ~新幹線と在来線~

みなさんこんにちは、今日はみなさんも知っているであろう新幹線と、それの対となる在来線の違いについて話していきます。今回はほとんど新幹線の解説になってしまいますが、どうぞお付き合いください。

改めて「新幹線」とは何なのか?
「新幹線とは何か?」と聞かれても答えは「そりゃ新幹線でしょ」ということになってしまうでしょう。真面目に答えても「速く走って大都市と大都市をつなぐ鉄道」としか答えられないと思います。

しかし、新幹線にはきちっとした定義があり、法律にもしっかりと条文があります。「全国新幹線鉄道整備法」の第2条に「その主たる区間を列車が200キロメートル毎時以上の高速度で走行できる幹線鉄道」と定められています。
つまり200㎞/h以上で走行する区間を有する路線が「新幹線」ということになります。

一方、これを満たさないJRの鉄道路線すべてが「在来線」に相当します。つまり新幹線として作られなかった「在来」の方法・目的で建設されたJR路線。それが在来線です。

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JR赤穂線。在来線は普通JR所属の新幹線以外の路線を指す。筆者撮影。

ただし在来線の範囲はJR以外の私鉄まで含むことも多くあり、あまり正確ではありません。新幹線と異なり法律で定義されているわけではないのでかなり曖昧な言葉みたいです。

新幹線は在来線とは違うシステムで建設・運行される
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新幹線は在来線とは全く異なる規格で作られる。筆者撮影。

新幹線そのものは在来線を発展させて作られた鉄道路線です。新幹線の前に在来線があったのですから。
しかし、その規格や管理については在来線とは全く違うシステムを取り入れています。

その一番の例が線路幅。新幹線は安定した高速走行を可能にするため、在来線の1,067 mmよりも広い1,435mmの線路幅で線路が建設されています。
当然、高速走行用の線路や電気方式等にも独自の規格があり、在来線とは全く違う規格が新幹線では採用されています。
また、通常の鉄道法に加え「新幹線特例法」という法律も適用され、独自の罰則規定もあります。ここも在来線とは異なるところ。

全てにおいて安全に200km/h以上で走らせることを目的とした設備を備えている路線。それが新幹線なのです。

新幹線の設備を備えているからと言って「新幹線」とは限らない
では、新幹線が在来線とどう違うかを見て貰いましたが、ちょっとここで新幹線の定義を見返してみましょう。「その主たる区間を列車が200キロメートル毎時以上の高速度で走行できる幹線鉄道」となっていますよね。つまりその路線の中に新幹線の車両・設備を備えていても、200km/hで走る区間がなければその路線は「在来線」になってしまいます。

代表的な例が博多南線(福岡県)とガーラ湯沢支線(新潟県)です。この2路線はそれぞれ山陽新幹線、上越新幹線の延長路線であり、新幹線の車両を使いかつ設備・法律も完全に新幹線と同等のものですが、200km/hを出す区間がありません。そもそもが短距離間において通勤客やスキー客を輸送するために設けられた路線であるため、本格的な高速走行を行うことはないのです。
よって在来線の分類に入ります。

博多南線
博多南線。このような在来線は「新幹線規格在来線」と呼ばれる。画像はWikipediaより。(CC-BY-SA4.0 帰属:そらみみ)

ちなみに博多南線は山陽新幹線の終点・博多駅から回送される車両が留置される車両基地周辺の住民が、「車両基地まで線路が通っているなら自分たちも乗せてほしい」との意見から誕生したもの。
ガーラ湯沢線はガーラ湯沢のスキー場に客を輸送するための路線で、新幹線で直接スキー場に向かえるようにしたもの。スキー客専用路線なので冬にしか営業しません。

また山形新幹線・秋田新幹線は名前に「新幹線」の文字を冠しますが、これらの路線は既存在来線の上を新幹線の車両も走れるように改良しただけの路線です。つまり、設備そのものは在来線のままであるため「新幹線特例法」で新幹線と定義されないただの「在来線」になります。

山形新幹線
山形新幹線。名称こそ新幹線だが、法律・設備は在来線に準拠する。線路幅だけ新幹線に準ずる。画像はWikipediaより。(CC-BY-SA4.0 帰属:E3uematsu)

山形・秋田新幹線の列車(つばさ・こまち)は東京~福島・盛岡間は新幹線として走り、福島~新庄、盛岡~秋田間は在来線区間に乗り入れるという形式になっています。在来線区間は新幹線ではないため、午前6時前から列車を走らせることも可能です(新幹線は午前0時から午前6時まで列車を走らせることが出来ない)。
このように新幹線車両が在来線を走れるようにしたシステム・区間を「ミニ新幹線」と呼びます。フル規格新幹線の対義語として生まれた言葉です。

というわけで今回は、新幹線と在来線の違いについてでした。普段何気なく使っている単語なだけにその正確な意味まであまり考えたことがなかったと思います。
ですが、ここで新幹線と在来線の違いとその面白さを感じていただければ幸いです。

参考文献
「徹底図解 鉄道の仕組み」新星出版社、2006年