鉄道基礎用語-10 ~リニアモーターカー~
さあ、鉄道基礎用語シリーズも第10回を迎えました。今回は最新鋭鉄道の代名詞、リニアモーターカーについて解説します。
リニアモーターカーだからと言って浮上するわけではない
まずそもそもな話から。リニアモーターカー方式を採用している鉄道路線は日本にすでに8路線あります。
「え、車輪を使わずに浮く路線ってもうすでにあるの?」とか「愛知県のリニモだけじゃないの?」とか思われるかもしれませんが、そもそも「リニアモーターカー(linear motor car)」とは車両を浮上させて動く車両を指すのではありません。
「リニア」とは英語で「直線」のこと。すなわち「リニアモーター」とは「直線状モーター」のことであり、モーターの種類のことを指します。なお、リニアモーターは和製英語です。
技術的な話になってしまうので詳細は省きますが、通常の鉄道など一般的な電気部品のモーターは円筒形をしています。この円筒が回転することで車輪が動き、車両は推進力を得ます。
このモーターを直線状にぐいーんと伸ばしたのがリニアモーター。モーターの中のコイルも円ではなく直線的な動きをします。浮上式鉄道に都合がいいというだけで特に「浮上」の意味は持っていません。
もちろん技術的には浮上させない方が簡単なわけで、先ほどの8路線のうち7路線は地下鉄で鉄製車輪を履いており、地面に接地しながら走っています。この「鉄輪式リニア」方式を取っている路線は以下の七路線です。
大阪メトロ・長堀鶴見緑地線
都営地下鉄・大江戸線
神戸市営地下鉄・海岸線
福岡市地下鉄・七隈線
大阪メトロ・今里筋線
横浜市営地下鉄・グリーンライン
仙台市地下鉄・東西線
どうでしょうか。人によっては身近な路線がリニアモーターカーだったかも知れません。普段乗っている電車があの500㎞/hで走るリニア中央新幹線と同じシステムを取り入れていると思うと少しわくわくしませんか?

都営大江戸線。車輪を履いているが、線路と線路の間にモーターを動かす導体(リアクションプレート)が敷設されている。もちろん浮かない。画像はWikipediaより(CC-BY-SA3.0 帰属:Lover of Romance)
ではなぜわざわざリニアという方式を取り入れているのかと言うと、リニアモーターの方が普通の円筒形モーターよりも小型に出来るのです。と言うのもリニアモーターはモーターを推進させる導体を線路側に敷設できるため、その分車両を小型化、それに伴いトンネルも小型化できるのです。
トンネルを小さく出来るということは建設費が抑えられるということ。これに目を付けた会社がリニアという方式を採用しています。
弱点は他の一般路線の中に入れないこと。軌道間さえ合っていれば機関車の牽引で他路線を走れないこともありませんが、モーターは完全に線路の導体頼りであるためその車両単独では走ることが出来ません。
ですが新規地下鉄路線を建設するときはリニア方式を取るところが増えています。
浮上するリニアモーターカー・マグレブ
さあ、いよいよみなさんが想像する「浮く」リニアモーターカーについての紹介です。
電磁石の力で浮上する鉄道は磁気浮上式鉄道と呼ばれ英語で「Magnetic Levitation」、略して「Maglev(マグレブ)」と呼ばれます。
電磁石で浮けばモーターの種類はなんでもいいのですが、リニアモーターを用いるのが最も効率よく一般的なので、結局はモーターはリニアモーターが採用されます。
そんなマグレブの代表格がリニア中央新幹線。リニアモーターカーと言えばまさにこの車両でしょう。

リニアモーターカーの代名詞。リニア中央新幹線。500km/h以上で走る。画像はWikipediaより(CC-BY-SA4.0 帰属:Hisagi)
浮上式鉄道は線路と接触しないため車輪と線路の間に摩擦力が発生せず高い加速・減速性能を実現できます。また摩擦による速度制限がなくなるため走行時の抵抗が空気抵抗のみとなり、その分大幅な最高速度アップを望むことが出来ます。リニア中央新幹線が高速で走れるのはこのためです。
また浮上して走ることで車輪や線路の摩耗が少なくなるのも特徴。これにより整備費用の大幅な削減をすることが出来ます。騒音も少ないのも長所です。

浮上式鉄道のリニモ。画像はWikipediaより。(CC-BY-SA3.0 帰属:Chris 73)
浮上式と言えども高速で走る路線もあれば低速で走る路線もあり、例えば愛知県のリニモは低速で浮上走行するマグレブです。この路線は急勾配が続く路線になることが予想されたため、急勾配を上りやすい浮上式リニア方式が取られました。愛・地球博に伴う先進的技術の提示という目的もあったみたいです。
というわけで今回は鉄道の動力駆動の一方式、リニアモーターカーの紹介でした。次回金曜日は普通や快速などの列車種別の紹介です。
新星出版社
2006年
